まあ笑ってくれ。

お前の上司の頭髪を全てもやしに変えてやろう

聖闘士星矢に対する止まらぬ愛を語らせてくれ

子供の頃、海外に住んでいた。そのため日本のアニメは入手困難だった。

ネットはないし、まだ日本のアニメの知名度も低い。

 

日本のアニメや漫画を手に入れるには、ハイテクなおばあちゃんの存在が不可欠だった。

録画や、滞りないマンガの購入ができるおばあちゃんがいる人だけが、

日本の娯楽作品を手に入れることができた。

 

私のおばあちゃんはきしめんを買うことができた。でもアニメを録画することができなかった。

だからうちの親はハイテクおばあちゃんを持つご家庭よりビデオをお借りし、

代わりにきしめんをおすそ分けした(と、思う。適当に言った。)

 

しかし、なんぼハイテクとは言っても、おばあちゃんですから、ハイテクぶりには当然、限界がある。

私たちがお借りしていたビデオを作ったおばあちゃんの限界はそう、

同じアニメを続けて撮る、みたいな能力の欠如だった。

今のように便利なドラマ連続予約録画みたいな機能のない時代だったし。

 

ビデオには、乱雑に、子供が見そうなものがとにかく順不同に撮り溜められていた。

 

そして、その撮りためられた入たものの中で、圧倒的な量を誇っていたのが、

聖闘士星矢だったのだ。

 

 

歯抜けではあるが、かろうじてストーリーがつかめる、それが聖闘士星矢だった。

そんなわけで、聖闘士星矢は私の子供時代の象徴となる、大事な思い出の欠片なのだ。

 

とはいっても、長らく私は、はたして少年たちが女神を救えたのかどうか知らなかった。

ビデオの一番新しいものがピスケスのアフロディーテとの闘いで終わっていたからだ。

 

そこで私は、帰国後聖闘士星矢のマンガを読んでみた。

読んだうえで訴えたい。

聖闘士星矢おもしれぇ。

どんなにおもしろいか訴えたい。

聖闘士星矢?興味ないね』って言ってる人に訴えたい。

読んだの10年以上前だからうろ覚えだけど訴えたい。適当な記憶をベースに訴えたい。

 
登場人物がおそろしく若い

まず訴えたいのは、登場人物がのきなみ若いということだ。

どんだけ若いかっていうと、まず主人公たちが13~15歳くらいだ。

ようするに中坊だ。

 

それより上の年代の、先輩陣も、

だいたい20代前半だ。

 

それより上になると一気に100歳くらいの年寄りになる。

 

中年の存在許すまじ、みたいな。

そんな世界なのだ、聖闘士星矢の世界は。

 

メタボになるくらいならいっそ仙人化する、みたいな。

もう清々しいほどの中年無視っぷりなのです。

 

その世界ではね、齢15そこそこのボクが、

『俺は血も涙も捨てた男だ』

みたいな発言をするの。

 

あぁああああん、もうボクゥウうううう

悶々としすぎて賢者モード入っちゃったのかなぁアアア?

 

20くらいの子でも『ふっ、小僧め』みたいなこと言うんです。

この世界では20過ぎたらもうベテランなの。

もぉおおおお

そんなこと言うとオバちゃんくすぐっちゃうぞぉ!?

 

私たちの失った若さがそこにはふんだんに溢れているわけ。

若いの、とにかく若いの、この漫画は。

 

でね、あまりの若さにね、ストーリーに矛盾が生じまくってんの。

「そのイベント起こった時君1歳とかじゃね?」みたいなことが起こるのよね。

後で書きますけれど、その矛盾ぶった切りなところがこの漫画のいいところなのよ。

 
 登場人物がだいたいみんな美形だ

美形、といいましてもですね、

だいたい、

眉毛の形4種類、目の形2種類、輪郭、鼻、口、それぞれ1種類、

の、8種類の顔で回していますから、

美形、と言っても自己申告制なんです。

でもわかりやすく『神よ私は美しい』みたいなこと言ってくれるから、

ああこの子美形なんだ

ってわかりやすいんです。

 

ちなみに、この基本8種の顔に入らないブスな子は、

だいたい早々に消え去る雑魚キャラだと思っていいです。

美しくなかったら強くもないってね。

 

そんな美しい(自称)ボクちゃんたちが活躍するマンガが、女性にとって楽しくないはずないわけなのです。

 
もうね、スカッとする。スカッと。

毎日暑いわけじゃないですか。その上職場ではじめじめとした面倒な人間関係。

こっちに気を遣うとあっちが・・・みたいな、ね。

わずらわしいよね、大人って複雑だよね。

 

その点、聖闘士星矢は竹を割ったような清々しさ。

とにかく細けぇことはいいんだよ!

みたいなサクサクした展開のオンパレなんですよ。

 

まず設定は穴ぼこだらけ!

前提として、主人公たちは武器を持たず素手で戦う戦士たちである・・・

ということが冒頭で説明されるんですよ。

その数ページ後に、もう武器らしきものもった子が現れますからね。

主要登場人物として。

その後も「それ武器だよね?」みたいなのが出るわ出るわ。

 

セリフ回し、技、ストーリー展開もすべてフィーリングでバッサリあっさり展開します。

ある登場人物が敵に痛めつけられてるんですね、

そしたら、その兄貴がどこからともなく登場するんです。

『わが最愛の弟を傷つけたのは貴様か』的なことを言うんです。

そして、数ページ後にその子、言うんです。

『俺は愛も涙も捨てたのだ』

って

 

あぁああああああああああああ

 

もうね、爽快!爽快なまでのフィーリングベース!!

まるでスイカを割る時のように、汁が飛ぼうが種が飛び散ろうが知ったこっちゃない、爽快!!!!!!!!

 

この調子で、ストーリーは滞ることなくサクサク進んでいくわけです。

それはもう、中学2年生の子が大学ノートに描いた漫画のように。

1コマ目で主人公がパンくわえて走ってて、

2コマ目でかどに差し掛かってて、かどの向こうに人影が見えてて、

3コマ目で転校してきたヒロインとハプニングチューしてるみたいな。

それくらいサクサク進むんです。

 

 みんな中学2年生に戻ろうよ!!!

そしてこの漫画のもっとも愛すべき点は、

麗しき中2設定ですよ。

 

ほんとはみんな、どこかで好きなんだと思うんですよ、中2設定。

でもちょっと気恥ずかしい、みたいな。

 

この漫画はね、少しも臆することなく、気恥ずかしさのかけらもなく、

堂々と中2設定なの。

 

中2で悪いか

 

ってマンガ自体が逆切れして叫んでいるような、そういう作品なの。

 

たとえばね、登場人物の強さを説明する時に、「マッハ○○で移動する」って書かれてるの。

『マッハ○○とは1分間で地球○周できる早さだ』って。

 

ねえ、何するの、その子マッハで動いて何するの?

地球を1分で廻るって重要かな!? 便利だけど重要かな!?

 

楽しいよね?すごく楽しいよね。

 

そしてね、前述したとおり、たくさんの少年が登場するわけなんだけど。

100人の少年がいるのよ。

彼らは1人のオッサンの手によってたくさん修業させられて戦士に育てられるんだけど。

 

<!-- 以下ネタバレをふくみます -->

その子ら全員オッサンの子供だったわけ!

100人全員兄弟だったわけ!

 

でもね、読んでる限り、100人全員、ほとんど同じ年みたいなのよ。

ものの2、3年で100人の子供を作ったとしたら、

むしろそのオッサンの話が読みたいな、わたし。

 

 

ああ、おもしろいよ、おもしろいよ聖闘士星矢

なんだか今でもスピンオフ作品みたいなのがあるようですね。

まだ自分の子供時代が継続しているようで、少しうれしいです。

聖闘士星矢よ永遠なれ←てきとうに言ってみた。