まあ笑ってくれ。

お前の上司の頭髪を全てもやしに変えてやろう

風邪について誤解してるかも⁉ 『Ah-choo!』風邪についてのすべてを読んだ

 

 

少し前に、連続で風邪に悩まされてほとほと嫌になって買った本です。

作者自身風邪の研究の治験に参加したりして書いている、風邪に関するトリビアが詰まっています。

 

何かいい予防のヒントがないか期待して読みましたが、

読んでわかったことは、「風邪についてはとにかくわかっていないことが多い」ということでした。

 誰かが大金ははたいて薬を買うはずもなく、儲けが少ないこのジャンルでは、本格的な研究が進みにくいようで、

以下ご紹介する内容だいたい全部

「という研究結果があるが、研究手法には疑問が残る」「と、唱える医者もいる」といった注釈がつくと思ってください。

 

本自体は、正直あまり読みやすくありませんでした。

 

と、いうのは、風邪には引いているけれど症状が出ていない。しかし免疫ができて行こう同じ風邪に罹患しない。という状態があります。

 

だから一口に「風邪予防」と言っても、風邪にそもそも感染しないことを言うのか、風邪の症状をなくすことを言っているのか、わかりにくい箇所が多かったです。

 

しかも、一口に「風邪」と言っても、1種類ではありません。主な種類は、

ライノウイルス

⇒風邪のほとんどを引き起こすウイルス。涼しい鼻の中が好き。

家系的にはポリオウイルスに近い。なお、ポリオは強いプロテインのコーティングを持つため、温度が高く酸性の内臓まで生き延びるのでより厄介。

コロナウイルス

⇒今話題の子だけど、新型じゃなければ比較的マイルドな風邪になりがち。

インフルエンザウイルス

⇒肺が好き

アデノウイルス

⇒感染者の5人に1人の肥満細胞を変化させ、太りやすい体質に変えるらしい恐ろしいタイプが3種類見つかっている

パラインフルエンザウイルス

喉頭、気管が好き

RS

⇒気管支が好き

最初にチンパンジーで発見された。大人はまだいいが子どもに感染するとたいへん

hMPV

⇒2世紀ほど前に鳥から人に感染したっぽい

 

など。

それぞれ症状や特性が異なるので、どの風邪の話をしているのかわかりにくいこともあり、それぞれの風邪別に章を作るか、ライノウイルスに特化して書くかしてもらいたかったな…。

 

なお、この本を読んでわかった一番おもしろかったことは、風邪をひかない人が頑丈というわけではないということでした。

 

風邪の侵入

 

・風邪の1番の侵入口は目と鼻だが、実は具体的な侵入方法はまだ不明なことも多い。

 

・咳で風邪が広まるかはまだハッキリと言えない。

⇒風邪で噴射されるのは主に唾液だが、唾液には実は含まれる風邪ウイルスが少ない。

 

・今主な感染路としては、物への付着からが主流説が濃厚。モノ付着した後も長時間ウイルスは残る

⇒ライノウイルスが付着したコーヒーカップを渡された人の半数が感染した。

⇒付着したドアノブを触った人14人連続で感染、さらにその人から握手で感染。

 

・感染は1粒でも体内に侵入すれば成立しうる。

 

風邪の成立

風邪をひくと起こる辛い鼻水やくしゃみ。これを引き起こしているのはウイルスではない。

ウイルスが体に侵入してきたことに反応した自身の免疫システムが反応しヒスタミンなどを放出した結果起きていること。

 

実は、ウイルスが侵入しても、免疫系統が反応しない人がいる。これらの人が、「風邪をひかない人」。一見風邪をひいてないと思われがちだが、普通の人と同じくらいの頻度で感染している。

 

のどの痛み

喉の奥の細胞がウイルスに感染すると、体はその場所にたくさんの血を送る。すると血管が拡張し、神経が圧迫されて喉の痛みが発生する。

 

鼻づまり

鼻詰まりも血管の拡張によるもの。鼻の血管は通常、一定周期で片方ずつ拡張を繰り返す。そうすることで鼻の穴は片方ずつ交代で働くが、風邪でこのリズムが崩れ、息をしにくくなる。

血管の拡張が原因なので、鼻づまりの時に鼻をかんでも無意味なことがほとんど。

 

鼻水

血しょうなどが鼻の血管から漏れて粘液腺の分泌物と混ざったもの。

なお、鼻水はバクテリアや花粉を流すのに適してる。この機能は大昔に人間が風邪ウイルスに悩まされる前に人体が身に着けた機能のようで、ウイルスを流すのに向いていない。

くしゃみ

通常くしゃみは異物の排出のために出るが、風邪の時は体内が敏感になっていて、自分自身の分泌物に触発されてくしゃみが出ることも多い。

なお、くしゃみを人工的に起こすには鼻にヒスタミンを塗ればよい。風邪をひくと、ヒスタミンへの敏感さが上がるのではないかと考えられている。

 

正午から6時の間にピークになりがち。真夜中から午前6時は少なめ。4日目に落ち着くことが多いが、25%の人は2週間ほど続く。

 

 

風邪を予防するには

 

鼻が冷たくなると、ウイルス感染に対する抵抗が減る。また、足を冷やした後5日間の感染の確率は3倍だった。足を冷やすと鼻の血管が収縮することと関係があると主張されているが、いずれの研究も不十分。

 

ヨウ素は風邪予防効果が高く、実験で手に塗ると感染確率が90%も低くなった。ただし色がつくのが問題

 

・もっとも汚染されているのは子供の遊具、つり革、ショッピングカート、自販機のボタン、エスカレーターの手をおくところなど。触ったら即消毒!

 

・何気に洗濯物にもたくさん付着している。洗った後の洗濯物も同様。洗濯したら手も消毒!

 

・7時間以下の睡眠で3倍かかりやすくなる。途中で起きることなども影響。不眠は炎症を引き起こし、免疫システムがコントロールできなくなるためかも。

 

毎日30分ほど運動する人の方が風邪をひきにくい。とくに秋。マラソンなど、運動のやりすぎは逆効果。

 

・適度な飲酒も風邪を予防。理由はわかっていない。

 

・ビタミンCは風邪予防効果は認められず、わずかに風邪の期間を減らした。7.8日から7.1日に減らしたのみ。ただし、マラソン選手などの運動をしているやスキー選手など寒さにさらされている人については、風邪の罹患を半分におさえた。

 

・手洗いよりもアルコール除菌の方が効果あり(全面にちゃんとつければ)。

アルコールはウイルスを包む脂質を溶かす。脂質を持つインフルエンザやRSにはとくに効果が高い。

しかし、ライノウイルスは脂質に包まれていないので効果薄め。

風邪全般を予防するには手洗い+アルコール除菌がよさそうだ。

 

風邪をひきやすい人

 

・ストレスで風邪をひきやすくなる。ストレスが強いほど症状もひどい。都会の音もストレスらしい。

 

・幼少期持ち家に住んでいた方が風邪をひきにくい。親が裕福でストレスが少ないことと関連があるかも。

 

・自分自身をどうとらえているかで風邪のひきやすさが変わる。自分で自分を成功者だと思っている人の方が風邪をひきにくい。

 

・外向的な方が風邪をひきにくい。

 

・「居場所」が多い人の方が風邪をひきにくく、ひいても症状が軽い

 

風邪をひいたら

・医者の多くは風邪には総合薬より、症状別の薬をとることをすすめる。

のどの痛みや咳にはイブプロフェンなどの抗炎症薬、鼻水とくしゃみには抗ヒスタミン薬(眠くなるけど)を。

総合風邪薬は他の成分も入っているので、飲み合わせなどに注意が必要。

 

・風邪がもっともうつりやすいのは、症状がでてから最初の2-4日

 

抗生物質バクテリア細胞壁の形成を阻害して殺すためのもの。細胞壁をもたないウイルスである風邪には一切効き目がない。

 

・風邪の最中に免疫力をアップする薬をとってみたら、風邪症状は悪化した風邪の辛さは免疫システムが大暴れしているから。この時は免疫アップしすぎるとたいへん。

 

・ストレス大敵

ストレスにより出るコルチゾールは免疫系統が風邪の時に出す炎症性サイトカインの放出をオフにする機能を弱らせる。

要するに、ストレスが多いと免疫システムが暴れて風邪症状を引き起こしている状態をやめさせられなくなり、余計風邪の症状がつらくなる。

 

・理由はわからないが、チキンスープが風邪症状を(やや)軽減することに成功している。

チキンスープに含まれるアミノ酸システインが鼻水症状を和らげるためという説などもあるが、

クノール、キャンベル、リプトンなどの市販のチキンスープ全てにおいて、実験で好中球の動きを抑える効果があった。風邪のつらい症状は免疫系統の暴走なので抑えた方が楽になる。

 

風邪に関するトリビア

 

・人は一生のあいだ24,000時間風邪をひいている

 

・人間の風邪がうつるのはチンパンジーだけ。猫も風邪があるが人間のものはうつらない。

 

・画期的な風邪薬がないわけではないが、感染後12時間以内に摂取しないといけなかったり(たいてい感染に気付くのは感染してから16時間前後)、ピルの作用を相殺してしまったりなど、実用的でない

 

・世に出回っている多くの「抗菌」商品はナンセンス。プラスティックの中に入っている抗菌薬が物体の表面に付着した菌に作用するはずがない。

 

・癌を攻撃する風邪ウイルスの開発なども試みられている

 

風邪ウイルスという存在

ウイルスは生命と言うよりは、1本のRNAプロテインのカプセルの中にぎゅっと詰まっているだけのもの

 

なぜ風邪はなくならないのか?

1度侵入されて抗体ができた同じ風邪には2回は感染しない。

 

人の免疫システムは、ウイルスやバクテリアなどの侵入者の表面にあるプロテインの突起を見て相手を見分けている。しかし種類の違うライノウイルスは、それぞれ偽突起を持ち、免疫システムを騙す。偽物の突起を見た免疫システムは、過去に侵入された同じライのウイルスだと気づかない。

 

なぜ異なる症状が出るのか?

症状は罹患者の状態にもよるが、感染した場所にもよると考えられている。空気感染し気道に着陸したインフルエンザウイルスは一般的なインフルエンザ症状を引き起こすが、直接鼻に届けられた場合は、軽い風邪のような症状になるようだ。

 

風邪をひかない人

25%の人は、感染していても、風邪症状を起こさない(でも抗体はできる)。この人たちが風邪と気づかず他の人と接触して、風邪の流行に貢献している可能性がある。

一見ラッキーなこれらの人は、免疫系統が活発に働いていないのかもしれない。

 

まとめ

ずいぶん書いた印象ですが、全然おもしろかった内容をさらいきれませんでした。

身近なだけにおもしろいですね。

 

今はインフルエンザが流行りまくってるので(子どもの隣にクラスも学級閉鎖に)、アルコール除菌しまくっています。

もう少し、ライノウイルスと他の風邪の特性について深く知りたいので、また調べものして、わかったらこちらに書きたいと思います。

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風邪にはまだわかってないことがいっぱい