キンドルだと、著作権切れの本は0円DLしたい放題。
色々とDLしてきたけれど、真っ先に呼んだのがグリム童話。
本当はむごいとかぐろいとか色々聞く。
昔の人が何を楽しんでいたのか気になった。
昔の者を読むと、「ああ、今でもおもしろい」と共感することと、
「この人たちは根本的に思考回路が違う」と混乱することとある。
で、グリム童話は混乱の極地。
まだ自分が何を読んだのか消化しきれない。
なかでもありえなかったものを一つご紹介。
これをユーモアととれるのか、
今では失われた感覚で読まないといけないのか、
それともただの駄作なのか、よくわからない。
「震えられない若者」
むかしむかし、ある家に二人の兄弟がいたました。
兄は賢く弟はバカでした。
弟はバカなので恐怖を知らず、震えることをしりませんでした。
そこで、寺男が震えることを教えてやろうと教会に連れていきました。
夜中ベルタワーの上に上った弟の前に寺男は白い布をかぶって表れ、
お化けのふりをしました。
弟は「誰だ」と尋ねたが、答えがありませんでした。
だから階段の上から突き落としました。
寺男が足を折ってしまい怒ったので、弟は実家に帰されました。
父は若干のお金をわたして縁を切りました。
弟は、震えることを学べれば、父に認めてもらえると思い、
ある人の勧めに従って、処刑場で眠ることにしました。
処刑場にはまだ死体がぶら下がっていましたが、
弟はバカなので、寒いだろうと思い降ろしてやり、
火の周りに座らせてあげました。
火は大きくなって、死体に燃え移りました。
弟はせっかく火の近くに座らせてやったのに、
火が大きくなっても逃げないなんてバカか?と言い捨てて去って行きました。
とある王様が呪われた城を持っていました。
そこで三晩過ごせたら娘と結婚させるとおふれを出しました。
弟は震えることを学ぶために城に泊まりました。
最初の夜、黒い犬と猫が現れてカードゲームをしようと誘ってきました。
弟はそいつらを殺しました。
その後のろわれたベッドで眠りました。
ベッドが城中を飛び回ったので、弟はめんどくなって床で眠りました。
次の夜、体が半分しかない男が煙突から落ちてきました。
弟は「のこりの半分ください」と煙突のてっぺんに向かって言いました。
足など落ちてきました。
体がそろった男につづいて、たくさんの頭蓋骨や体のパーツを持った男たちが次々と煙突から落ちてきて、みんなで夜中まで遊びました。
夜中になると男たちは消えてしまいました。
3日目の夜、葬列が登場しました。
弟はバカなので、棺の中にいるのは自分の死んだ従弟に違いないと信じて、
遺体を取り出して、添い寝して温めてあげました。
すると遺体は目を覚まし、弟の首を絞めようとしました。
せっかく温めてあげたのに、とむかついた弟は従弟を棺の中に閉じ込めました。
なんかじじいも出てきて、どっちが杭を深く打ち込めるか競争しようと言いました。
弟は杭にじじいの髭をひっかけていじめました。
夜中になると、それらもまた消えました。
朝、王様は美しいお姫様と結婚させてやると言いました。
弟は結婚はいいけれどまだ震えることができないのが残念でした。
いつも震えたいとばかり言っている夫にいらっとした姫は、
ある日冷たい水を彼の頭からぶっかけました。
弟は「やっと震える意味がわかった」と言いました。